とまねこ- 2008/2/27(水) 04:58
顔と心に大きな傷を抱えた卑屈な商家の若旦那が、そんな自らのけがれをたゆたう微笑みで愛してくれた一人の美しき花魁に一時の夢を見るも、結局は弄ばれていただけだと分かり、果てには呪われし名の有る日本刀を片手に復讐に走る…
という流れ。縦軸の基本線としては果てしなくシンプル。
故に、横軸には個々人の生き様を歌舞伎そのままに歌舞いて描きながらも、
本線が向かう結末は、端から悲恋…
そして誰しもが予想できる、殺戮を経ての終焉…
主人公が失意のどん底に在るオープニングから回想に入るという流れで、恐らく見ている誰もがクライマックスにどのようなシーンが繰り広げられるかがイメージできたはずです。
そして、事実ストーリーはその想定の範囲を越えずにラストまで導かれ続け、想定の範囲内に着地し、終わります。
つまり、ある意味で言えば予定調和…
でも、決して失敗作だとは思わせない作品で。
とにかく、この作品のクライマックスを殺陣と考えて良いのなら、それを見せるという点においては成功したと言っても良いのではないでしょうか。
「来るぞ来るぞ…」「そろそろ殺陣が来るぞ…」と客席の雰囲気が、徐々に、そして否応無しに高まっていく…
そんな空気がピークに達した瞬間に彼らが披露した殺陣は、
彼ら自身が上げたハードルをしっかりと飛び越えてくる完成度
に至っていたようにわたくしは思います。
音楽・照明・効果音…果ては紙吹雪に突風まで、ありとあらゆる要素をふんだんに駆使し、その本流に自身達のパワーやスキルを存分に乗せてきた殺陣は、それだけで見るに値するスケールでした。
まさに、圧巻。
クライマックスまででしっかりと築かれた足場の上で披露された殺陣は、最高の様式美の連続にして、充分に豪放。
見せることをちゃんと意識できている集団が、しっかり魅せてきたなという印象を受けました。
作家性やストーリー性よりもビジュアルが特化された作品で、そういった意味では決してわたくしの好みではないのですが、それでも見るべきものはあるなと思わせてくれたお芝居でした。
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