テーマは人を思う気持ち、である。それと愛、親子の絆。丁寧に描いている。特に親子の情愛については感じ入るところがある。キムの気持ちが揺れ動くラストに向かってドキドキと期待感が膨らんでいった。キムの思いを考えると涙も出た。そして最期の拳銃自殺・・・。しかしである。自殺?自殺はちょっとどうかと思う。自殺したいほどの気持ちは痛いほどわかるし、現実においてはそういう人もいただろう。が、演劇としては自殺は選びたくない終わり方。子供が、向こうに育てられているとはいえ生きているのである。愛する人も生きているのである。しかも思いはこちらにあるのに。この状態での自殺には必然性が感じられない。そこだけが孤立する。そんなつらい中でも生きているからこそ価値があるのである。生と面と向かって向き合う気持ちにこそ、見る側の感動があるのだと思う。そこにこそ明日への希望をもらうのだと思う。必然性の低い死より、苦しい生のほうが、よりすばらしい芝居になったのではなかろうか。屋根の上のバイオリン弾きに感動したのはテヴィエの、「それでも生きていく姿」に勇気と本当の強さを見たから。オペラ座の怪人が死んだのは、殺人を犯した罪に加えて、夢も希望もなくなったから。蝶々夫人が死んだのは子を道ずれにしてのこと。この、ベトナム版蝶々ともいうべきミスサイゴンは、一流の芝居が、終わり方だけ三流になった。ただ、原田の歌唱力、演技力には目を見張るものがあった。
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テーマは人を思う気持ち、である。それと愛、親子の絆。丁寧に描いている。特に親子の情愛については感じ入るところがある。キムの気持ちが揺れ動くラストに向かってドキドキと期待感が膨らんでいった。キムの思いを考えると涙も出た。そして最期の拳銃自殺・・・。しかしである。自殺?自殺はちょっとどうかと思う。自殺したいほどの気持ちは痛いほどわかるし、現実においてはそういう人もいただろう。が、演劇としては自殺は選びたくない終わり方。子供が、向こうに育てられているとはいえ生きているのである。愛する人も生きているのである。しかも思いはこちらにあるのに。この状態での自殺には必然性が感じられない。そこだけが孤立する。そんなつらい中でも生きているからこそ価値があるのである。生と面と向かって向き合う気持ちにこそ、見る側の感動があるのだと思う。そこにこそ明日への希望をもらうのだと思う。必然性の低い死より、苦しい生のほうが、よりすばらしい芝居になったのではなかろうか。屋根の上のバイオリン弾きに感動したのはテヴィエの、「それでも生きていく姿」に勇気と本当の強さを見たから。オペラ座の怪人が死んだのは、殺人を犯した罪に加えて、夢も希望もなくなったから。蝶々夫人が死んだのは子を道ずれにしてのこと。この、ベトナム版蝶々ともいうべきミスサイゴンは、一流の芝居が、終わり方だけ三流になった。ただ、原田の歌唱力、演技力には目を見張るものがあった。
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